Merlin T4
Merlin T4の特徴

高速・高精度電子顕微鏡撮影向けに設計された次世代ハイブリッドピクセル検出器
Merlin T4はQuantum Detectors社が開発した最新鋭の検出器であり、4D-STEM(4次元走査透過電子顕微鏡)や電子回折といった最先端アプリケーションにおいて、卓越した時間分解能、データ処理速度、空間分解能を実現します。CERNのTimepix4 ASICを搭載し、65nm CMOSプロセスで製造されたMerlin T4は、イベント駆動でえ200ピコ秒という優れた時間分解能と40,000fpsを超える連続フレームレートを実現し、ノイズフリーでの検出を可能にします。データ駆動型の完全読出しアーキテクチャにより、従来の130nm検出器を凌駕する性能を発揮し、タイミング分解能、空間分解能、高スループット性能をコンパクトな真空対応設計に統合しています。これは次世代TEMワークフローに最適な仕様です。
特筆すべきは、Merlin T4が幅広いビーム条件下での動作が検証されている点です。ビーム感受性の高い材料向けの超低線量イメージングから、要求の厳しい4D-STEMや電子回折ワークフロー向けの高フラックス取得まで、多様な用途に対応できます。このため、ゼオライト、2次元材料、有機薄膜などの脆弱な試料の観察に最適であり、従来の検出器では不可逆的な損傷を引き起こす可能性があるケースでも安全に使用できます。
真のイベントベース検出と単一電子感度を備えたMerlin T4は、線量制限が厳しい実験環境においてもクリーンで高品質なデータを提供します。それが材料科学における動的プロセスの観察であろうと、ビーム感受性試料からの傾斜シリーズ撮影であろうと、Merlin T4は高速性能、ナノメートルスケールの空間分解能、そして200ピコ秒という時間分解能を実現し、他の検出器では捉えられない微細な現象を捉えることが可能です。
すでに欧州の主要国立研究所や大学の顕微鏡センターで導入が進んでおり、北米やアジア地域でも研究者の間で次世代4D-STEMや超高速電子顕微鏡法への関心が高まる中、Merlin T4の採用が広がっています。
Merlin T4を選ぶ理由
切り替え可能な検出モード:フレームベースとイベントベースの取得モードをシームレスに切り替え可能。マイクロ秒単位のフレーム取得から、200ピコ秒のタイムスタンプ付きイベント検出に対応
幅広い線量範囲への対応:超低線量条件から高線量条件まで最適化されており、線量感受性の高い4D-STEM研究や、飽和や信号損失のない高線量電子回折ワークフローにも対応可能
内蔵スキャンエンジン:JEOL、Thermo Fisher、NanoMEGASなどの主要TEMシステムとの柔軟なトリガー制御と同期を実現。動的実験のセットアップを効率化
柔軟な統合設計:スペース制約のあるTEMカラム向けに設計されており、薄型で伸縮可能な真空対応構造を採用。光ファイバー出力により、検出器とサーバーを最大10メートル離して設置しても信号劣化が発生しない
グローバルな信頼性:欧州、北米、アジアの一流研究機関(国立研究所や大学の顕微鏡センターを含む)で採用実績
仕様
イベント駆動モード時:200psの時間分解能
フレームベースモード時:40,000fps以上
直接電子検出方式(シンチレータ不要)
位置・時間・エネルギー情報を同時に取得可能なイベントカウンティング機能
放射線耐性を備えたCMOS設計(30~300keVのエネルギー範囲に対応)
マルチチップ構造による大面積検出領域
飽和現象のない高線量率環境への適応性
Merlin T4は、CERNのTimepix4チップを基盤として開発された次世代型ハイブリッドピクセル検出器です。ピコ秒レベルの時間分解能を備え、毎秒4万フレームを超える高速検出を実現しています。CCDや従来のCMOS検出器がシンチレータと光変換プロセスに依存するのとは異なり、Merlin T4はシリコン内で電子を直接検出するため、ノイズの混入や画質の劣化が一切生じません。
イベント駆動型モードでは入射電子は個別に捉えられ、その位置・エネルギー・正確な到達時刻が精密に記録されます。これにより、高計数率環境下においても真の単一電子検出を達成可能であり、4D STEM(走査透過電子顕微鏡法)、高速回折、クライオTEM(低温透過電子顕微鏡法)、放射線感受性材料の観察など、要求の厳しい電子顕微鏡アプリケーションに最適です。放射線耐性設計と広検出面積を備えたMerlin T4は、最も要求の厳しい電子顕微鏡用途においても求められる速度・精度・信頼性を兼ね備えています。
Merlin T4:TEM用Timepix-4検出器向け高速読み出し電子回路
Merlin T4は、世界有数の透過型電子顕微鏡(TEM)施設ですでに導入されている高性能ハイブリッドピクセル検出器でです。
Timepix-4チップの要求仕様に合わせて設計されたMerlin T4は、コンパクトな収納式メカニカル設計を採用しており、高速データ取得時に発生する熱を効果的に放出します。液体冷却システムを必要とせず、スペースに制約のあるTEM環境にも容易に組み込むことが可能です。
設置環境に柔軟性を持たせるために、データは高速光ファイバー出力を介してストリーミングされます。これにより、読み出しシステムを顕微鏡本体から離れた場所に配置しても性能を損なうことなく運用できます。
読み出し電子回路、ファームウェア、データ取得ソフトウェアといった主要コンポーネントは、すべてQuantum Detectors社が独自に開発したものです。この独自の開発体制により、Merlin T4はTimepix-4の最大帯域幅で動作可能であり、速度・画質・信頼性のいずれにおいても妥協のない、長時間にわたる連続データ取得を実現しています。
世界中の主要な顕微鏡施設で実証済みのMerlin T4は、4D STEM(4次元走査透過電子顕微鏡法)、高速回折測定、先進材料科学分野におけるビーム感受性イメージングなど、高スループット電子顕微鏡ワークフローをサポートします。
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